サクセッション 創刊にあたり

chatGPTで生成した事業承継をイメージしたイラスト

東京商工リサーチのデータによると、2023年の企業倒産件数は8,690件で、前年比35.1%増と大幅に増加しており、コロナ禍の支援策終了に伴った倒産が増えている様子が伺えます。

一方、 「休廃業・解散」企業は、49,788件で過去最多を更新しており、その内黒字の企業の割合は何と52.4%で、約26,000社。つまりは倒産した会社の約3倍の数の企業が黒字のまま廃業、解散を行っているという状況です。

そしてこれも想像に難くありませんが、休廃業企業の代表者の年齢構成は、60代以上が86.9%の比率を占めています。

私は、事業承継=世襲という思い込みが事業承継の選択の幅を縮めていると考え、内部昇格や、M&Aを始めとした第三者承継も含めた事業承継という概念を世に広めることを目的として、このWEBメディアを創刊しました。

最終的な目標は、それまでに培われた会社毎のビジネスノウハウや商圏、取引先を含めた経済圏から、従業員の雇用も含めたゴーイングコンサーン(継続企業の前提)を実現していく未来を実現させるために、後継経営者育成のプラットフォームを確立させることです。

と、いきなり大風呂敷を広げましたが、そもそものきっかけとなった出来事があります。

昨年、私の個人的な回顧録である「後継者」を綴る中で、多くの感想をいただくと同時に、自分自身が事業承継に対して誰よりも強い思い入れを持っていること。それもまた、ある意味では非常に屈折したものであり、殊更に世襲を悪く表現したりもしていましたが、実際にはM&Aでの事業承継も決して難易度は低くないこと。また、内部昇格には株の問題が付きまとうこと、などなど、何処まで行っても明確な答えが出せる問題ではない「事業承継」という言葉の前で、世襲の経営者という立場を降りて数年が経った今でも、もやもやとした思いを常に持ち続けている自分が居ることに気付かされました。

ならば、ビジネスのためではなく、言わばライスワークではなくライフワークとして、どのような事業承継が、ステークホルダー全員が幸せになれるのか。必要な要素は何で、やるべきではないことは何なのか。世界においても日本においても、まだまだ明確な指針があるとは言えない課題について、リアルタイムで起こる事例や、あるべき事業承継を実現させた方々へのインタビュー、様々な形式で事業承継を完結させた方々の回顧録などから、その答えのようなものをみなさまと一緒に探っていきたいと考えております。

とは言っても本業がそれなりに立て込んでいる中、数ヶ月前から構想していたある方への連載オファーがご快諾をいただけ、とんとん拍子に初回原稿を拝受出来たこともあり、バタバタと本日とりあえずサイトをオープンさせたのが本当のところです。本来はインタビューも何本かストックしておきたかったのですが、オファーもこれからというところで、先ずは定期的にサイトとしての独自コンテンツを配信することと、事業承継関連のニュースの考察的な記事の配信を、マイペースですが、途切れず続けていくことを当面の目標とします。

後に、あの記事を見て私は〇〇しましたみたいなことを言ってもらえるようなメディアになるべく、熱量の高いコンテンツを発信していきますので、お付き合いいただければ幸いです。

サクセッション編集長 室木 英人

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この記事を書いた人

サクセッション 編集長
1981年 京都生まれ。2006年 立命館大学卒業後、祖父が創業して父が経営していた着物メーカーに後継経営者として入社。父の急逝に伴い、2007年に代表取締役に就任。2017年に祖業を事業譲渡。その後、自身で立ち上げた事業も2018年に事業譲渡後、官民ファンドであるREVICの再チャレンジ支援によって法人は和解型の特別清算処理を行った。2018年に事業承継・レンタルビジネス・ECコンサルティングを手掛けるDEPLOY MANAGEMENT株式会社を設立し、現在までに多数のクライアントの課題解決を手掛けている。

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